・ 基本的確認事項 ・ 設計者の3つの顔 ・ 名称の由来と社訓・他・ 監督と監理
・ 建築工事の発注方法 ・ デザインが決まるまで  ・ 建設業の仕事の流れ
・ 5つの設計業務 ・ これからの建築計画   ・ 住宅メーカーと地元
  建設業者との違い
・ 設計報酬と期間     ・ 設計事務所と建設会社
  設計部門との違い
・ 設計事務所の選定基準    ・ 設計事務所の色々

 
 
U. 建築工事の発注方法
さて前節で建物は工事請負契約で発注されると述べましたが、発注方法は現在では次の3タイプに大きく分類されると思います。
  1. A)タイプ…住宅(プレファブ系)メーカーに、展示場やカタログ等を参照して発注する。


  2. B)タイプ…地元工務店や建設業者に、設計から施工までを一貫して発注する。


  3. C)タイプ…設計事務所に設計・監理を依託し複数の建設業者の見積り合わせとして発注する。
A) タイプ・住宅メーカー(プレファブ)系
昭和50年代から急成長し現在、戸建住宅の約30%強を占めています。
統一された品質と安定した供給を工業化で可能にしています。
営業の熱心さ、各種書類作成や手続きの早さは素晴らしく、黙って印を押せば後は全てお任せの安心感があります。
ただ、設計上の提案や仕上・設備類等の変更の自由度は低く、価格交渉も限られた範囲内です。
地元工務店や大工さんが昔はライバルでしたが、今やメーカー間でデザインや技術にしのぎを削っており、良くも悪くも日本の住宅産業の牽引役をしております。
価格は他の2つのタイプに比して、やや割高な感じがします。
B) タイプ・地元工務店系
「頼むよ棟梁」「ようがす旦那」の一言で家が建つ落語の世界ではありませんが、地元に根差し親の代から旧知の間柄(あいだがら)。
パートナーとしての信頼関係は申し分無いのですが、設計〜施工を一貫で発注すると設計変更や金額交渉で、義理と人情が逆に足椥(あしかぜ)となって、言いたい事も言えなくなってしまう危惧もあります。
人間関係と仕事関係を相対で両立させるのは建築工事の場合、結構難しい事です。
特に住宅は昔と違い、現在は平面計画や仕上・設備機器が多様化している為、
設計施工で依頼する時は、完成した建物を見学させてもらい、自分の希望を満足させてくれるか否かを判断する事が重要です。
C) タイプ・設計事務所依頼系
建物を計画される時、設計事務所に依頼される方が少数派ですが着実に増加しています。
依頼される主な理由としては、
・ 設計時に各種の案を提示してもらい多方面から検討したい。
・ 同じ工事費で、より質の高い建物とする為に、工事価格交渉の窓口を任せたい。
・ 工事現場の施工監理やミス防止、追加変更工事金の内容チェックや仕上材の色彩選定等、工事期問中は建主代理人として現場を監理して欲しい。
の3点に集約出来ます。
次節ではこの3点についての業務内容を説明させて頂きますが、 A)B)タイプに比して設計期間はかなり長く必要とし図面や打合せは当然大巾に増えます。
又設計監理費も相応の金額が必要です。
しかし、自分や家族が一生を送る家、生活を支える店舗や事務所であるならば、
着工前の十分な検討、贅沢ではない必要な工費や最低限の工期の確保を建物に掛ける事をお奨(すす)めします。
※ 設計事務所と工事業者を混同され、私に工事を請負って施工してくれと言ってくる方がいます。
希望も予算も手の内全部知り尽くしているだけに、クールに業者になり切れば利益計上も十分可能。
しかし、設計者として請負えば赤字は必然。
設計はコンサル業務ですから工事はやりません、と丁寧にお断りして、今日も建主の代理人として工事業者の方々と価格交渉の毎日です。
※ 某住宅メーカーのチラシに100日システムなんてのがあるが、住宅の工期、そんなに短縮してどうするの?建主さん橋の下で暮らしている訳じゃあるまいし。力まかせの技術力で工期短縮ばかり考えているけど、工期短縮して儲かるのは結局、工事業者の方じゃないのかな。工期が短かい、というのは、工場で規格生産された材料を現場でキッチリと組み立てるだけだから何か味気無くない?作ってくれた人達の苦労が見え隠れする家の方が、ヤッパイイよね。
 
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