・ 基本的確認事項 ・ 設計者の3つの顔 ・ 名称の由来と社訓・他・ 監督と監理
・ 建築工事の発注方法 ・ デザインが決まるまで  ・ 建設業の仕事の流れ
・ 5つの設計業務 ・ これからの建築計画   ・ 住宅メーカーと地元
  建設業者との違い
・ 設計報酬と期間     ・ 設計事務所と建設会社
  設計部門との違い
・ 設計事務所の選定基準    ・ 設計事務所の色々

 
 
V. 5つの設計業務(+αの業務)
本節では本題の設計事務所の業務内容や工程、期間や報酬等について、木造2階建て60坪の専用住宅を当社が設計監理を行う場合を例に取り、説明させて頂きます。
当社は設計監理業務内容を大きく5つに分類しています。
  1. 企画設計


  2. 基本設計


  3. 実施設計


  4. 業者選定


  5. 工事監理+αの業務
1 企画設計
まず敷地の形状や特性を見、次いで道路や上下水道等のインフラ設備、法令上の規制や周辺環境等を調査し、将来像を予見します。次に現在及び将来の家族構成や店舗像について協議し、基本コンセプトをまとめ、敷地全体計画としてのマスタープランを作成します。(店舗や医院建築では特に大事な業務です。)
2 基本設計
1の基本コンセプトを基に敷地利用計画や平面計画を、打合せと並行して繰り返し作成します。
次に構造計画で構造躯体を検討の後、外観〜各部仕上計画・内外部の建具や家具計画と意匠系打合せが続き、給排水給湯衛生設備計画・空調換気計画・コンセント類の弱電計画・照明計画・TV・Tel等の通信映像計画等、一連の設備計画を経て基本設計が終了します。

打合せ内容は予め当社で複数の案を作成しておきますので、打合せの席で説明させて頂きます。又省エネ対策やランニングコストの算定・メンテナンスヘの配慮も重要な項目です。打合せ終盤では概算工期と工費や全体資金計画も作成し、計画の全体像を描き出します。

尚、設計契約は当社の場合、基本設計の中盤時に締結して頂いています。この期間は設計業務の内でも最も大事な期間です。<後のけんかは先にせよ>の諺もあるように互いに納得ゆくまで意見交換を重ね、二人三脚の信頼関係を築いてゆきたいと思います。とにかく回数を重ね時間をかけるほど良い結果につながります。性急な実施設計の着手は後々、後悔の元になります。
3 実施設計
基本設計が中盤に入る頃、着手し基本設計の内容を基に、各種図面や竣工パース、設計見積書を作成します。本例の建物ですと意匠図面が約23〜25枚・設備系図面が約12〜15枚程度です。又各種の行政申請や融資手続きも併せて行います。この時期は皆さんとの打合せも一段落し、当社での図面作成の社内業務が中心となります。
4 施工業者選定
実施設計も終盤に近づく頃、工事業者選定準備に入ります。皆さんの知り合い業者や当社推薦業者一覧より複数の業者(平均2〜5社)の方に、見積り参加の意志を確認の後、図面を配布し、相応の期間の後、見積書を提出して頂きます。
提出された各社の見積書と当社の設計見積書の内容を比較検討の後、価格交渉を経て工事発注となります。
尚、見積り依頼には、特命発注・見積り合わせ・入札発注と3つの方法がありますが、当社は見積り合わせの形式で依頼しております。内容詳細は<見積り案内書>を予め作成し、皆さんの同意を得た後、工事業者の方々に発送いたします。
5 工事監理
さてイヨイヨ工事が着手しました。工事期間中、設計者は次の3つの顔を持ち施工業者の現場監督と皆さんとのパイプ役として現場全体を監理します。
(1) 建主代理人として……工事の進捗状況や作業内容を確認します。また建主出席の打合せ会を定期的に開催し、関係職種の方々を交えて図面の最終確認を行います。
(2) 技術者として……現在の施工内容が図面と照合して適切か否かを検討し、次の仕事の準備状況や留意点を指示します。又定期的に現場定例会議を開催し、関係職種の方々と質疑応答や追加・変更金額の査定等も行います。
(3) デザイナーとして……仕上予定材のサンプルや色見本等を取り寄せ、テクスチャーやメンテナンス性等を考慮して全体のカラーコーディネートを行います。遊び心のデザインを提案する事もあります。
+αの業務
建物の竣工も間近かになりますと、登記や住居表示申請・引越手配・植栽計画・カーテンや家具調度品の購入等、又店舗や医院建築なら更に広告や看板の設置・ロゴマーク等のCI計画作成からメンテナンス業者との契約・各種開設許可申請と、ともかく思わぬ出費や雑務が一気に押し寄せて来ます。
そこで皆さんの代理人として各種業者との折衝や各種雑務の交通整理をお手伝いさせて頂きます。が、この業務は設計委託業務内容には含まれていません。
しかし、企画や基本設計で描いた全体イメージを実現する為にアドバイスさせて頂きたいという当社からのサービス業務です。
但し、広告や看板の設計・ロゴマーク等のCI計画作成等については別途有償業務とさせて頂いてます。
さて+α業務の最後はアフターケアです。建物竣工後は施工業者と皆さんとの間は、ややもすると疎遠になりがちなものです。
そこで不都合が発生した時は当社にて必要な手配を行います。又メンテナンス状況や各種設備機器の点検・指導にもお伺いいたします。
完成した建物は皆さんの所有物ですが、建築デザインは設計者のものです。
建物がある限り名前が残るのと同時に、責任も残る訳ですので、アフターケアを通して二人三脚の長い付き合いをお願いしたいと思います。
尚当社は、<環(たまき)会>という建主交流会を組織し、アフター業務や各種案内・増改築の相談窓口の場を開設しております。(詳細は第3章Vを参照下さい。)
※ 一気可成(かせい)に設計業務内容を書き上げては見たけれど、改めて文章にすると、その守備範囲の広さにイヤ〜自分で感心しています。
<揺り籠(かご)から墓場まで>に匹敵する地面の下の関東ローム層からドアの把手まで、凡(およ)そ建築工事に関する全ての物事に対して、面倒を見なければならない世界。
しかも食べ終って勘定価ぼ?では済まない、竣工してから長い長い付き合いが始まる世界。頭も薄くなりますよ。
※ 念の為もう一度確認させて頂きますが、業務内容@〜D+αは当社を例に取り説明したものです。
"こうでなければならない"という設計上の業務規定は特にありません。
各事務所毎に業務内容や進め方・取り組み方に違いがありますので、本誌を教科書としてではなく、参考書として御利用下さい。
 
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