・ 基本的確認事項 ・ 設計者の3つの顔 ・ 名称の由来と社訓・他・ 監督と監理
・ 建築工事の発注方法 ・ デザインが決まるまで  ・ 建設業の仕事の流れ
・ 5つの設計業務 ・ これからの建築計画   ・ 住宅メーカーと地元
  建設業者との違い
・ 設計報酬と期間     ・ 設計事務所と建設会社
  設計部門との違い
・ 設計事務所の選定基準    ・ 設計事務所の色々

 
 
V.これからの建築計画
前節で建物を検討する時の7つの項目を紹介しましたが、ここでは建物の用途を大きく5つに分類して、どの項目を優先させるべきかを私の取捨選択で具体的にアドバイスさせて頂きます。又建物の企画に対する機能の基本コンセプトとテーマも併記してみます。
尚#1・強度(Strong)は、凡そ建造物である以上、当然検討されるべき項目の為、選択肢には含みません。
もう一つ駐車場の問題がありますが、住宅系を省く他の用途の建物にとっては駐車場は死活に係る大問題です。 (一般に車一台駐車に対して約5坪の土地が必要です。)十分な駐車台数と建物を建てる敷地が確保出来れば、営業上の成功はある程度予測出来ます。が現実にはかなり無理な希望です。選択肢としては住宅系以外の用途には必須項目ですが、敷地の形状により個別対応すべき条件の為、本文では含んでおりません。
1 専用住宅系
@ 基本コンセプト(一生一諸に過ごせる家)
現在及び15年後の家族構成や仕事内容を想定し、規模や平面計画を立てましょう。
A採用項目
#2.健康:やはり自然の採光や通風が第一。次いで断熱対策や省エネ問題です。
#4.安全:防犯対策とバリヤフリーへの対応。特に玄関・廊下や階段等の通路部分と浴室・WC等水廻りの機能性は将来の為にも十分な検討が必要です。
B注意事項
快適性を求めてツイツイ過剰設備になりがちです。維持費も考えて設備機器による快適追求はホトホドに。
収納スペースは将来を見越して十分に確保しましょう。
家相は個人差により関心度も随分違いますので気掛りな方は生兵法で処理せず専門家に相談して下さい。
但しホトホドに!住宅を建てるという事は家族の生活様式も建てるという事です。
生活目標や規範を家族で話し合ってから計画に入りましょう。
地盤状況・基礎〜構造躯体・耐震性能等、人間ならば最も重要な骨格について検討します。
2 各種店舗系
@基本コンセプト(一歩前ゆく店作り)
客が入りたくなる店、リピートしたくなる店とは何かをCI計画も含めて考えましょう。外観で1回、内部で1回は建築でお客を呼べますが、3回目からはオーナーの経営努力です。
A採用項目
#5.美的:外観や内部デザイン・仕上材の選定〜基本カラーの決定等店舗用途により違いますが、他の同業店との差異を自信と勇気を持って明確に、お客にアピールすべきです。
#6.価値:道路境界一杯の建物や歩道に溢れる商品陳列、これ見よがしの盾板類…これ全て今後の店舗建築ではマイナスの要素です。環境に配慮した付加価値が店のイメージを通行者に印象づけます。つまり"ストリート・ポイント"となる店作りです。
B注意事項
内装や商品陳列は5〜7年で改装となります。設備や仕上材はフットワークの軽い物を中心に選択しておきましょう。又今後の客層は、中高年層と女性層が中心となってくると思いますので、その対応も重要です。
3 医院・病院系
@基本コンセプト(患者に優しい医療空間)
患者の不安と痛みを和らげる色彩計画と雰囲気作り。又お客さまとしての認識の確立と対応も必要です。(診察三分、待ち一時間の解消)
A採用項目
#3.快適:BGMによる音楽放送やビデオ.LD放映による待ち時間の不安解消。子供コーナーや自動血圧計・給茶機や床暖房設置等のサービス提供、と患者に提供する快適さの内容は10年前に比して多様化して来てます。
#4.安全:高齢者や身障者・乳幼児等弱い立場の利用者が多い為、ハートビル法による各種手法の積極的採用と同伴者への配慮が必要です。
B注意事項
患者とスタッフの分離二動線確保は必須です。又開院すると増・改築の難しい用途の為、CTやMRI等、大型医療機器の導入計画や入院患者への管理体制、カルテ・薬品の収納スペース確保等は事前の十分な計画が必要です。
4 共同住宅系(賃貸・分譲共)
@基本コンセプト(付加価値空間を持つマンション)
逆スラブ工法による床下収納庫、メゾネット形式による高い天井空間の確保、可動家具によるフリープラン等、この分野では付加価値を高める為の新しい構法やプランが次々と提案されてます。
A採用項目
#1.強度:阪神大震災以来、入居者の最大の関心事は耐震構造ですので、重ねて記しておきます。
#2.快適:バブル期の過剰設備は異状でしたが、入居者の大半が青中年層の為、従来の設備機器に加え映像や通信設備等の充実が必要です。
#6.価値:借りたい・買いたいマンションを左右する最も大事な要素となります。
B注意事項
立地条件や土地の大小は如何とも出来ませんが建物に価値は付けられます。羊葵縦割型や豆腐サイの目型(+)ベランダ付きデザインでは供給過多の現在、生き残れません。外観も大切ですが、ともかく内部空間の"売り"は何かを明確に提示する事です。万人受けは無価値なのです。
4 テナントビル系
@基本コンセプト(?)
設計が最も難しい建物です。いままでと違い利用者の顔が見えて来ないからです。一企業の社屋ですと(B)各種店舗系に準じて提案できますが、複数賃貸となると全くお手上げです。任せて頂く他ありません。強いて上げれば同フロアー分割賃貸にも対応可能なようにエレベーターや階段・WCの共有部分の配置に注意することです。
A採用項目
3.快適:情報システムやOA機器に対応する為、フリーフロアー等によるインテリジェントビル化が必要になっています。
#7.金額:全ての用途の必須項目ですが、特に本件では試算表による工費と家賃の事前決定から計画をスタートとすべきです。
B注意事項
分割賃貸ビルの場合は設備系統を集中管理するスペースと夜間の安全管理が重要です。
※7つの項目を当社では<建築七福神>と呼んで祭っています。
#1 強度 (Strong)・・・文句なく”毘沙門天"
#2 健康 (Health)・・・長寿を祈って”寿老人"
#3 快適 (Amenity)・・・いつも腹出し健康”布袋”
#4 安全 (Safety)・・・家内安全願って”大黒天”
#5 美的 (Beauty)・・・全員一致で”弁財天”
#6 価値 (Value)・・・何かありそな”福禄寿”
#7 金額 (Economy)・・・商売繁盛願って”恵比寿”
皆さんのイメージは如何でしょうか? 尚、当社では所員必修暗記心得の一つです。
 
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